昆虫

曳光

ホタルの季節になった。夏の風物詩と言いつつ全国的には見られる場所が減っているようだ。ゲンジボタル、ヘイケボタルなどの幼虫期を水中で過ごすホタルは綺麗な水というよりやや汚れた水に棲むので水質が原因というより棲む空間がなくなっているのが原因なのだろう。

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ゲンジボタルの光の軌跡を長時間露光で撮ったもの。ゲンジボタル、ヘイケボタルともに独特の緑色をしている。ゆっくりと光りながら飛ぶ姿は確かに風流だ。少し標高の高い場所に住むヒメボタルという種類は黄色い光をカメラのストロボの様にまばゆく点滅させる。これがまた美しく、年に1度はわざわざ夜の山に登り鑑賞する価値のある昆虫だ。

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北の草地の夏

この時期北信地方に行くと、道ばたの小さな草地に沢山のヒメシジミが群れている。

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シジミチョウは1箇所に普通1頭から数頭程度がいる程度だが、ヒメシジミは1箇所に10頭以上が群れているため、小さいながら見応えがある。

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ヒメシジミの日光浴。時には大きな花の上で何頭も羽根を開いていることもある。

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アゲハチョウ

アゲハチョウ科に属するチョウは結構種類が多い。里に多いアゲハチョウやクロアゲハはもちろん、春の妖精として有名なギフチョウもアゲハチョウ科になる。

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写真のチョウも実はアゲハチョウのなかま。以前はウスバシロチョウと呼ばれていたが、最近はウスバアゲハという名前をもらっている。アゲハチョウというより蛾のようにも見える。アゲハチョウ近縁種は幼虫時代に毒草を食べて育つものが多く、キアゲハの幼虫は普通のセリやニンジンも食べるが、猛毒のドクゼリも食べる。ギフチョウは毒のあるウマノスズクサ科の植物を食草とする。ウスバアゲハの幼虫も例外ではなく、毒草であるケシ科のムラサキケマンを食べる。

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アゲハチョウのように俊敏な飛び方をせずに、草地の上をゆっくりと滑るように飛ぶウスバアゲハ。春先の信州にはごくありふれた存在だが、全国的にどこにでもいるというものではない。信州に来たときにこのチョウを初めて見たときにはえらく感動したものだ。

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花の取り合い

花の蜜を利用している昆虫は多い。花がふんだんにあるときは良いが、 花の少ない時期には取り合いになることがある。

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ヒメシジミがシロツメクサで吸蜜しているときに後ろからミツバチ(セイヨウミツバチ)がやってきて、驚いたヒメシジミが飛び上がった瞬間の写真。花が少ない時期だけに数少ないシロツメクサを巡って小さな虫たちも必死なのだ。

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銀色のストライプ

戸隠連山のはずれで植物を見ていた時のこと。ススキ草地の上をひらひらと舞うチョウがいた。

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とまるのを待っていると、ギンイチモンジセセリだった。後ろ羽根の銀色のストライプが綺麗なセセリチョウの一種だ。茅場などで生活しているため、茅場の管理がされなくなると姿を消す。この姿を見るのも本当に久しぶりだ。全国的にこのチョウは激減しており、一寸した草地の隅で細々と生活している。

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大草原の小さなカメムシ

キバネツノトンボに続き、草地に生息し希少とされる昆虫には大きさ5mmに達しないものもある。

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シロヘリツチカメムシがその小さな希少種だ。野焼きや草刈りによって維持されている背の低い草地に生息する小さなカメムシだ。このカメムシはこれまたカナビキソウという目立たない植物に群がる。この目立たない植物に群がる目立たない昆虫も草地の重要な構成員なのかと思うと生態系の複雑さは、そうそう説明できないものであるのと同時に細かいものへの配慮というのも大事だと思う。

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初夏の飛翔

高温多湿の日本では自然状態で森林が成立するため、草地という環境は遷移の初期か人為的に維持されている場所に限られる。当然、草地に生息する昆虫というのも棲む場所が限られる。そのため、人里近くに生息していながら、希少とされるものも多い。

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キバネツノトンボもそんな草地の昆虫だ。「トンボ」とついているが、どちらかと言えばアリジゴクに近い。綺麗な黄色い羽根と長い触角が特徴。広い草地を飛び回るために広い視界が必要で、眼(複眼)が大きい。アップでみると結構かわいらしい。

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天竜川の堤防の上を気持ち良さそうに飛び回るキバネツノトンボ。ずっとおなじルートを飛び回るので何かを見張っているみたいだ。こののんびりした飛翔をする昆虫は天竜川の初夏の代表選手だろう。

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南の渓流I

鹿児島県万之瀬川は薩摩半島南部を流れている。

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岩には穴が空き南西諸島のポットホールと風景は変わらない。この場所から数km下流に行くと広大な砂浜が広がる海に出る。深い常緑樹林からいきなり海に到達するあたりも南西諸島の様な感じだ。

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飛んでいたチョウはヒオドシチョウかと思ったら、タテハモドキだった。大きな目玉模様が特徴の南方のチョウだ。

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水のしみ出す場所にはモンキアゲハが集団で吸水していた。川沿いには本州にもあるような草が生えていたので、まだ本土なのだと思えるが、南西諸島や東南アジアと変わらない風景(勝手に想像している)だろう。

万之瀬川を歩いた日は鹿児島県は30℃に達し、岩ばかりの川辺で危うく熱中症になりそうだった。

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春日山の原始林

奈良の春日山から若草山周辺を歩いた。観光ついでに登るには少し距離があるので、歩いている人は少ない。世界遺産に登録されているにもかかわらず、騒がしくなく、静かな巨木の杜を堪能することができるお薦めの場所だ。

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山頂から巨木の杜が延々と続いて、その山裾の杜の中に春日大社がある。春日大社はちょうど春日山と奈良市街地との間をつなぐ移行帯のような役割を果たしている。

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若草山山頂はちょうど桜が散り始めていた。桜吹雪の中、シカたちが一生懸命食べていたのは桜の花びら。草よりも栄養価があるのか、単に美味しいのか口の周りに花びらを沢山付けて花びらだけを食べていた。

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麓まで歩いて来ると目の前を青く光る虫が横切った。地面に降りたのをみるとオオセンチコガネ(大型のフン転がし)だった。普通オオセンチコガネは緑や、くすんだ赤なのだが、この地域のものだけ、青くなる。以前虫屋さんに標本を見せてもらい、その美しさに息を呑んだ。生きている姿は宝石そのものだった。この生きたサファイアはしばらく私の足下をうろついてから飛んでいった。

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川岸のクレーター

川岸を歩いていると月面のクレーターの様になっている場所を見つけた。

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月面のクレーターは小隕石が衝突した跡だが、この無数のクレーター状のものはアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)の「すみか」だ。アリジゴクは地上を歩く昆虫を捕まえるためにこのすみか兼トラップを作るのは有名な話だ。このような場所にそれほど沢山の虫があるいているのだろうかという疑問を持ったことがある。アリジゴクの研究をしている人に聞くと、案の定滅多に餌にありつくことはなく、栄養不足でなかなか大きくなれないそうだ。待っているだけで楽そうに見えるアリジゴクの生活もなかなか厳しいようだ。

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ミノムシの越冬

ミノムシを見つけた。

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トチュウの木の枝にひっそりと付いていた。中に住人がいるのかどうかは分からないし、確かめるためにいじるのもしのびないのでそっとしておいた。昆虫図鑑と言えば必ず、小さく切った折り紙や毛糸をミノムシに与えるとそれを使ってみのをつくるとある。一度見てみたいと思いつつ実際やるのはミノムシにとって大変迷惑なことかもしれない、という気持ちのジレンマとなる。

何年か前、ミノムシが激減して絶滅の危機なんてメディアで騒がれたことがあった。別に人為的な採集圧が急にかかったり、食樹が激減したり、大気が急激に汚染されたわけでもない。原因は寄生バエの急増らしい。その後どうなったのだろうか。少なくとも松本では、時々見かけるので無事なのだろうか。小さな庶民の行く末が少し気になる。

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短い夏

今年は猛暑だった。とにかく暑い日が続いた。仕事の合間をぬって短時間美ヶ原高原に行った。といってもそれは先月の話で、その間ひたすらブログ更新をさぼってしまった。

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写真はマルバダケブキというキクの仲間に群がるアサギマダラ。このチョウは長距離移動することで知られる。夏の間は高原などで花の蜜をすっているが、秋になると南方に移動を開始する。この浅葱色(新撰組の羽織の色)は美しい。飛ぶ姿も優雅だ。初めてみたときには本当に息をのんだ。こういう大型のチョウを広角レンズで撮ってみたいと思っていたが、ついに撮影に成功した。

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最南端の生き物

鹿児島県最南端は亜熱帯気候である。生き物も沖縄などの南西諸島のものと共通のものが多い。まさか本土で南西諸島を代表する大型のシロチョウ科ツマベニチョウが乱舞している姿を見られるとは思っていなかった。モンシロチョウなどと違って照葉樹林の林冠部を高速で飛び回るので写真には収められなかった。林縁の草の葉の上に小指の先ほどの大きさのきれいなタマムシがいたので写真に撮った。調べると「ルリナガボソタマムシ」という名前であった。分布は九州最南端と南西諸島のみのタマムシだった。こんなに小さな虫までが南方の種類になってしまう。こういった変化が楽しくて仕方がない。

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私が訪れた佐多岬はヘゴという木性シダが生育する最北端とされている。少し探すとなんと畑の脇に自然に生えてきたと思われるヘゴがあった。一瞬自分が南西諸島にまで来たような気分になってしまった。このとき佐多岬の先に沖縄があるのだと実感できた。やはり知っていることと分かっていることとは全く違うのだと思う。

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(2007/05/03撮影 CanonEOS30D ルリナガボソタマムシ:Canon100mmMacro ヘゴ:Sigma10-20mmZoom)

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