曳光
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アゲハチョウ科に属するチョウは結構種類が多い。里に多いアゲハチョウやクロアゲハはもちろん、春の妖精として有名なギフチョウもアゲハチョウ科になる。
写真のチョウも実はアゲハチョウのなかま。以前はウスバシロチョウと呼ばれていたが、最近はウスバアゲハという名前をもらっている。アゲハチョウというより蛾のようにも見える。アゲハチョウ近縁種は幼虫時代に毒草を食べて育つものが多く、キアゲハの幼虫は普通のセリやニンジンも食べるが、猛毒のドクゼリも食べる。ギフチョウは毒のあるウマノスズクサ科の植物を食草とする。ウスバアゲハの幼虫も例外ではなく、毒草であるケシ科のムラサキケマンを食べる。
アゲハチョウのように俊敏な飛び方をせずに、草地の上をゆっくりと滑るように飛ぶウスバアゲハ。春先の信州にはごくありふれた存在だが、全国的にどこにでもいるというものではない。信州に来たときにこのチョウを初めて見たときにはえらく感動したものだ。
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高温多湿の日本では自然状態で森林が成立するため、草地という環境は遷移の初期か人為的に維持されている場所に限られる。当然、草地に生息する昆虫というのも棲む場所が限られる。そのため、人里近くに生息していながら、希少とされるものも多い。
キバネツノトンボもそんな草地の昆虫だ。「トンボ」とついているが、どちらかと言えばアリジゴクに近い。綺麗な黄色い羽根と長い触角が特徴。広い草地を飛び回るために広い視界が必要で、眼(複眼)が大きい。アップでみると結構かわいらしい。
天竜川の堤防の上を気持ち良さそうに飛び回るキバネツノトンボ。ずっとおなじルートを飛び回るので何かを見張っているみたいだ。こののんびりした飛翔をする昆虫は天竜川の初夏の代表選手だろう。
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鹿児島県万之瀬川は薩摩半島南部を流れている。
岩には穴が空き南西諸島のポットホールと風景は変わらない。この場所から数km下流に行くと広大な砂浜が広がる海に出る。深い常緑樹林からいきなり海に到達するあたりも南西諸島の様な感じだ。
飛んでいたチョウはヒオドシチョウかと思ったら、タテハモドキだった。大きな目玉模様が特徴の南方のチョウだ。
水のしみ出す場所にはモンキアゲハが集団で吸水していた。川沿いには本州にもあるような草が生えていたので、まだ本土なのだと思えるが、南西諸島や東南アジアと変わらない風景(勝手に想像している)だろう。
万之瀬川を歩いた日は鹿児島県は30℃に達し、岩ばかりの川辺で危うく熱中症になりそうだった。
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奈良の春日山から若草山周辺を歩いた。観光ついでに登るには少し距離があるので、歩いている人は少ない。世界遺産に登録されているにもかかわらず、騒がしくなく、静かな巨木の杜を堪能することができるお薦めの場所だ。
山頂から巨木の杜が延々と続いて、その山裾の杜の中に春日大社がある。春日大社はちょうど春日山と奈良市街地との間をつなぐ移行帯のような役割を果たしている。
若草山山頂はちょうど桜が散り始めていた。桜吹雪の中、シカたちが一生懸命食べていたのは桜の花びら。草よりも栄養価があるのか、単に美味しいのか口の周りに花びらを沢山付けて花びらだけを食べていた。
麓まで歩いて来ると目の前を青く光る虫が横切った。地面に降りたのをみるとオオセンチコガネ(大型のフン転がし)だった。普通オオセンチコガネは緑や、くすんだ赤なのだが、この地域のものだけ、青くなる。以前虫屋さんに標本を見せてもらい、その美しさに息を呑んだ。生きている姿は宝石そのものだった。この生きたサファイアはしばらく私の足下をうろついてから飛んでいった。
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ミノムシを見つけた。
トチュウの木の枝にひっそりと付いていた。中に住人がいるのかどうかは分からないし、確かめるためにいじるのもしのびないのでそっとしておいた。昆虫図鑑と言えば必ず、小さく切った折り紙や毛糸をミノムシに与えるとそれを使ってみのをつくるとある。一度見てみたいと思いつつ実際やるのはミノムシにとって大変迷惑なことかもしれない、という気持ちのジレンマとなる。
何年か前、ミノムシが激減して絶滅の危機なんてメディアで騒がれたことがあった。別に人為的な採集圧が急にかかったり、食樹が激減したり、大気が急激に汚染されたわけでもない。原因は寄生バエの急増らしい。その後どうなったのだろうか。少なくとも松本では、時々見かけるので無事なのだろうか。小さな庶民の行く末が少し気になる。
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鹿児島県最南端は亜熱帯気候である。生き物も沖縄などの南西諸島のものと共通のものが多い。まさか本土で南西諸島を代表する大型のシロチョウ科ツマベニチョウが乱舞している姿を見られるとは思っていなかった。モンシロチョウなどと違って照葉樹林の林冠部を高速で飛び回るので写真には収められなかった。林縁の草の葉の上に小指の先ほどの大きさのきれいなタマムシがいたので写真に撮った。調べると「ルリナガボソタマムシ」という名前であった。分布は九州最南端と南西諸島のみのタマムシだった。こんなに小さな虫までが南方の種類になってしまう。こういった変化が楽しくて仕方がない。
私が訪れた佐多岬はヘゴという木性シダが生育する最北端とされている。少し探すとなんと畑の脇に自然に生えてきたと思われるヘゴがあった。一瞬自分が南西諸島にまで来たような気分になってしまった。このとき佐多岬の先に沖縄があるのだと実感できた。やはり知っていることと分かっていることとは全く違うのだと思う。
(2007/05/03撮影 CanonEOS30D ルリナガボソタマムシ:Canon100mmMacro ヘゴ:Sigma10-20mmZoom)
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