植物

山のオダマキ

5月くらいになると花壇には色とりどりのオダマキが咲く。多くはツートンカラーで青や赤、黄色の派手な原色のものが多い。花壇に咲くオダマキは正確にはセイヨウオダマキという品種改良されたものだ。

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こちらは上高地で見つけたヤマオダマキ。もちろん昔から日本に自生している植物だ。セイヨウオダマキとは違い淡いパステルカラーで清楚だ。上高地だけではなく、長野県内ではその辺の里山でごく普通に見られる庶民だ。

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上高地へ

個人的な調査の関係で、この夏上高地へ通うことになり、その下見に行った。

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相変わらず美しい風景だ。

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ワスレナグサの近縁種エゾルリソウがちょうど見頃だった。この花はどこでも見られる訳ではないので、上高地にやってきたと感じさせてくれる。

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木漏れ日の中で

本格的な梅雨に入り、花がやや少ない季節になった。

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ササユリはこの時期に咲くユリだ。他のユリが草原に生育しているのに対して、ササユリは林縁や明るい林床に生育する。コナラなどの二次林に点々と咲いている姿をよく目にする。さんさんと日を受けて咲くのではなく、薄暗い林床で木漏れ日を受けて咲くのがひっそりとしていて綺麗だ。

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夏のサクラ

サクラの仲間は種類も多く、サクラ属の樹木は落葉樹から常緑樹までそろっている。花も観賞用の「サクラ」から、これもサクラの仲間?と思うほど花のバリエーションも豊富だ。

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花が穂になってつくウワミズザクラ。これも立派なサクラ。観賞用のサクラに1ヵ月ほど遅れて咲く。平地からかなり高い標高まで分布しているので、平地では5月には花が咲くが、1000mや1500mまで標高を上げると、6月に入っても花が見られる。

ウワミズザクラの花を焼酎に漬けると美味しいお酒になるという話を先日聞いたので、来年あたりはその果実酒ならぬ花酒を作ろうと思う。

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危険なつる

ウルシ科の植物は触れるとかぶれるので有名だ。害ばかりの印象のあるウルシ科だが、栽培されるウルシは漆器の色つけに使われ、ハゼノキの果実の周りのロウは和蝋燭の原料、果物のマンゴーもウルシ科になる。

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ツタウルシはつる性のウルシの仲間で、木に巻き付き上に伸びる。秋の紅葉は本当に美しく、朱色~紅色の鮮やかな紅葉の美しさは落葉樹でも抜きんでている。抜きんでているのは、紅葉の美しさだけではなく、触れたときのかぶれ方も半端ではない。ウルシは平気でもツタウルシにはかぶれる人もいるくらいだ。山を歩くとき、特に気を付けなければならない植物だ。

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鬼のスゲ

種名に「オニ」というのがつくと固い毛が生えていたり、刺だらけだったりする。

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オニスゲも例外ではない。実がトゲトゲで大きい。湿地やため池の周辺で群生している。この写真を撮影した日、急にバケツをひっくり返したような雨が降り、車に雨具を置いていたため、悲惨な目にあった。もしかしたらオニスゲの祟りだったのかもしれない。

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谷川のアクセント

今年こそは本格的にスゲの勉強を…と思いつつ毎年良い時期を逃し続けている。今年は少し余裕ができたので、ベストシーズンは逃してしまったが、少し標高を上げれば、まだ勉強は可能と思い少しずつ勉強をしている。

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タニガワスゲはその名の通り谷川沿いに生育するスゲの1種。実や葉などパーツごとに見るとさほど個性はないが、全体の姿は庭園の小川に沿って植えても絵になるほど美しい。タニガワスゲのように分かる種類だと鑑賞する余裕があるが、この近くに生えていた小型のスゲは顕微鏡下で格闘することになりそうだ。

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シダの観察

週末、県内のシダ好きの人たちが集まる「信州シダの会」の例会に参加させて頂き、美ヶ原山麓でいろいろなシダの観察を行った。「シダ観察」を主としているためディープかつ楽しい集まりだった。意見交換をしながら、美しいシダや花をいくつも観察できたが、天気予報は午後から激しい雨が降るというのでカメラは持たず、観察に専念した。いつもの事ながら、その辺にありふれた種類を見て、当たり前の様に分かる種類と一寸した変異に頭を抱える種類があり、身近な場所を確実に理解することの重要性を痛感した。結局殆ど雨は降らず、カメラのないことに後悔するような場面に何回も遭遇し、そろそろ防水機能のあるサブカメラを持ちたいと思った。せめて、好きなミヤマワラビ、ヤマヒメワラビ、ラン科植物くらいは確実に写真に収めたいので、また撮りに行こうと思う。

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帰り道、林道沿いの草地に咲いているスズランを見つけ、数枚写真を撮った。写真はそのうちの1枚。この時期まだ標高の高い場所には花が少ないため、なかなか登ることがない。平地ではとっくに終わっているレンゲツツジの花が満開で、点々とスズランが咲いていた。

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緑の花

ラン科の植物には緑色の花をつけるものがある。

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写真はヤマサギソウ。ヤマサギソウを含むツレサギソウ属の仲間は地味な緑色の花をつける。花があっても周囲の草に紛れて見つけづらい。この属は花粉を媒介する昆虫と花の形の対応やその進化について研究され、花粉媒介の研究の世界では有名な属になっている。

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花の形が特徴的といっても種ごとに極端に違う訳ではないため、現場ではオオバノトンボソウや、ホソバノキソチドリ、コバノトンボソウといったそっくりさんとの識別が困難で、写真をアップで撮影しておいた。草地性のツレサギソウ属は火入れ、草刈りなどの長期間の管理があってようやく生育できるものが多い。中には牛や馬が放牧されている場所に点々と生育している場所もある。

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高山のナズナ

標高2000m近くになると、風当たりの強い場所では高山と同じように木が生育せずに草本植物のみになる場合がある。

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標高2000mの風衝地で見つけたミヤマハタザオ。本来もう少し大きく、葉も多くなるのだが、厳しい環境で小さくなってしまったようだ。一瞬クモマナズナなどの高山植物のようにも見える。

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ヒメスゲもちょうど実をつけていた。ヒメスゲは低地から高い山の上まで生育するジェネラリスト。高さは10cm程度で目立たないが、適応範囲の広さだったらカヤツリグサ科でもトップクラスだろう。

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頑健なスゲ

スゲの種類は非常に多い。形もそれぞれ独特だ。

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まっすぐ天に向かって太い茎を伸ばしてしっかりとした穂をつけるオオカワズスゲ。冷涼な地域の湿った場所に群生している。綺麗というよりは立派なオブジェという感じだ。その昔、検索表だけでこの種類にまでたどり着かず、いくつもの図鑑の図や写真と見比べて、きっとオオカワズスゲだろうと不安ながら、一応名前にたどり着いた。検索表というものは分からない時に引くものではなく、知っているものの確認に使うという先輩方の言葉は確かなのだと思う。

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流線型

昨日に引き続きたまったスゲ類の写真。

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勢いのある線をもったスゲの一種アズマナルコ。前衛的な生け花の一部をアップで見ているようだ。高さ70cmほどに達する大型のスゲだ。遠くから見ると噴水のように根元から勢いよく茎を伸ばし葉を広げている。長い冬を雪の下でずっと我慢していたかのように短期間で一気に生長し、実をつける。

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緑の数珠

スゲの類は地味ながら洗練されたデザインをしている。

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果実が緑色の数珠のようなジュズスゲ。斜光線を受けて実が透けて本当に綺麗だ。水墨画のようなシャープな茎・葉との対比がこのスゲの魅力だ。しかも北から南どこに行っても確実に出会うことができ、この姿を堪能できるのも魅力だ。

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白鷺

花の形が動物の姿に似ていることから名前の由来であるものは多い。花の形が白鷺にみえるというのでサギソウというラン科植物がある。同じような環境には同じく白鷺にみえる実をつけるスゲがある。

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高原のワタスゲの親戚サギスゲ。眼のさめるような銀白色の羽毛を持った果実は、湿原のあちこちで群れをなしている。

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ブナ-チシマザサクラス

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スゲ類の勉強にと北信地方に出かけた。植生の世界では「ブナ-チシマザサクラス」と呼ばれるブナ林の林床にチシマザサ(ネマガリタケ)が生育してという多雪地帯独特の森林を歩いた。雨なのか霧なのか分からないような不思議な天候の中スゲ類をせっせと集めた。林床はぬかるみ、明らかな降雨はないのにびしょぬれになりながら周りを見ると幻想的な風景だった。

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どの画角で撮影をしても絵になる。霧のブナ林は美しいものだ。

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林縁のイネ

長い期間ずっと同じ管理をしていると狭い場所に沢山の植物が生育するようになる。

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200年以上採草地だったとある場所では本来林縁や明るい林床に生える植物も多い。写真のオオトボシガラも林縁に生えるイネ科植物だが、アヤメやススキとともに生育している。大型だが全体に線が細くわずかな風にもそよぐ。

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梅雨時の花 III

梅雨時に開花するラン科植物第3弾。

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少し涼しい地域の登山道などでよく見られるササバギンラン。葉が笹の葉のように細い。よく似たギンランやユウシュンランは長野県内ではあまり見ない。少し分布が違うようだ。よく考えるとユウシュンランは照葉樹林下で見かけるから、見かけないのは当然か。ササバギンランは花の白いキンラン属の中では花が一番目立つ気がする。花の最盛期に花弁が大きく開くと立派なラン科植物と分かる。

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梅雨時の花 II

梅雨時に開花するラン科植物第2弾。

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エビネもこの時期に開花する。根茎の形がエビの尻尾に見えるのが名前の由来だ。どちらかというと太平洋側の温暖な気候の地域に生育するが、日本海側にも点々と生育している。地味ながら林床で咲いているとかなり目立つ。かつて研究を行っていたフィールドに咲いている写真のエビネの開花は、研究対象にしていた植物の野外実験の終了時期を告げる指標だった。

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梅雨時の花

長く雨が降り続く梅雨になるとラン科の植物が花の盛りを迎える。

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高山植物のハクサンチドリの近縁種、ノビネチドリの花も満開だ。高山や高原などに生育する近縁種が群生していることが多いのに対して、ノビネチドリは林床にぽつんと1本だけ生えていることが多い。しかも他の植物に紛れていることも多く、姿を見ることはあまりない。このノビネチドリも1年ぶりに見た。目に付かない場所の華やかな花を見つけると、とても運が良いと思える。

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高原の初夏

高原は平地よりも標高が高く気温が低いl。当然春から夏の季節の進行も遅い。

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シラカバ林などに群生するベニバナイチヤクソウ。この時期にはあちこちで見られる。シラカバの林床にはさほど植物は多くないが、初夏に沢山ベニバナイチヤクソウの赤い花が咲き、秋には赤いキノコであるベニテングダケが出てくる。シラカバの幹の白と林床の赤い植物(キノコは菌類か…)のコントラストは綺麗なものだ。

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夏緑樹林の林冠

年に2回開かれている植物研究会の例会に参加した。運良く雨は降らず、戸隠連山の外れ、一夜山山麓は暑くもなく、寒くもない登山には快適な天候だった。

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せっせとリスト作成をしつつ、ふと上を見るとちょうど新緑のサワグルミが綺麗だった。多雪地帯の湿地で泥だらけになりつつ、上層の新緑に癒されつつ着々と植物を調べていった。

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ヘビの顔

大概の生き物の名前はその外見が名前の由来になっている。

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ヘビが頭を上げたような見た目をしたマムシグサの花。正確には苞で、この苞の中に小さな花が沢山咲いている。名前の由来はこの植物の茎の模様がマムシの鱗の模様に似ているからだという。このマムシグサは見た目だけではなく、花粉の媒介様式も独特だ。小型のハエが花粉を運ぶのだが、花粉を外に持って行ってもらう時には、花の苞の根元の小さな穴が開いていて、いつでも外に出て行ける状態になっている。ところが、外から花粉を付けたハエがやってくる頃には苞の穴がふさがり、花粉を付けたハエはめしべに花粉を運んだまま外に出ていくことはできない。花の中の雄花と雌花の咲くタイミングをずらして、花を包む苞の形を変化させるという巧妙な戦略を持っている。

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菅の傘

昔の野良仕事と言えば菅の傘をかぶっている姿が定番だ。

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菅笠と呼ばれる傘は名前通りスゲの葉を編んで作られている。原料となるスゲはその名もカサスゲ。休耕田や山の湿地などに沢山群生している。葉も固く、傘にするには十分な強度がある。昔の人は単なる雑草も上手に利用する知恵があったのだろう。必要は発明の母というが、人の知恵によって生まれた現在の便利な素材の登場によって、身の周りにある場所を加工しようとする知恵が失われつつあるのかもしれないと感じる。

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粟穂

棚田草地はネタが尽きない。地味なスゲも種類が多い。

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アワボスゲなんかも生育している。良い草地で大きな実を付けている。

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希少云々以前に、この丸い実が緑色の真珠の様で美しい。本当の里山にはあるべき場所にあるべき種類が確実に生育しているという魅力がある。

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棚田の蜜源

棚田の草地は年間に何回も草刈りをするため、希少な植物が細々と生き続けるのには良いが、咲く花が限られている。草地に依存したチョウは折角羽化できても蜜がない状態になってしまう。

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チョウ達の重要な蜜源になっているが外来のムラサキツメクサ。何回刈り取ってもすぐに再発芽して花を付ける。棚田の草地では、他の在来種が圧倒的に優位にたっているため、さほど多いものではないが、点々と咲いている。外来種もこのように在来の貴重な餌になることもある。

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棚田の草地

棚田は作業効率が悪いため、現在次々と放棄されている。そんな中、細々と続く棚田はかつては平地にあふれていた生き物のすみかになっている。

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茅場に生育するクララも棚田の畦に沢山生えている。マメ科の大型の草本で、植物の名前の由来辞典をみると、噛むとあまりの苦さにクラクラするというのが名前の由来だそうだ。このクララ、棚田では、夏の間に草刈りをされるため、花を付けることなく、ある程度の大きさで生長がとまってしまう。

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形の定まらないもの

3年ほどまえに見つけたシダがある。高さ1cm程度の小さな葉のみを出して胞子を付けなかったため種名を決めることができず、ずっと保留していた。

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今年は生育具合が良く、葉は高さ4~5cmになり、おびただしい数の胞子をつけた株が出てきた。胞子の入った穂が棒やすりに見えるので、花鑢(ハナヤスリ)と呼ばれる。少なくともその辺の草地に生えているヒロハハナヤスリではないが、果たして一体誰なのだろうか。一応標本だけ少し頂いて今後顕微鏡下で調べることになるが、ぱっと見ただけでもいろいろな葉の形があり、特に特徴のない不定形のをシダじっくり見て、きちんと結論がでるのか少し不安だ。

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いずれがアヤメか…

安曇野にはパラグライダーの発進場がいくつかある。その場所はたいがい山の上でその昔採草地だった場所をそのまま流用している。結果的に長い間刈り取りによって草地が維持されている。

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パラグライダーの発進場に咲くアヤメ。発進場一面にあった。「いずれがアヤメかカキツバタ」というが、アヤメは草地環境、カキツバタは湿地に生育する植物。ずっと刈り取りを行われている草地にはアヤメが咲く。

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発進場から眺めた安曇野。昔の人は厳しい生活の中でもこの風景と一面に咲く花々をみて癒されていたのだろうか。

 

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ジオラマの世界

模型の世界ではいろいろなものを使って本物らしく見せる工夫をする。

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乾燥した場所に生育するハナヌカススキ。花が糠のように細かいイネ科の帰化植物。この穂を束ねて色をつけると、ジオラマの樹木になる。ハナヌカススキが群生すると照葉樹林のこんもりした形に見える。

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シロツメクサに混じって生育するハナヌカススキ。少し離れてみると高さ10センチの大森林ののできあがりだ。

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小さなキンギョソウ

園芸植物にキンギョソウという植物がある。花の形が泳いでいる金魚の姿に似ているというのがその理由だ。

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キンギョソウの近縁種、マツバウンラン。シバ地や農耕地などに生育する帰化植物だ。花の大きさはせいぜい3~4mmくらいで小さい。花は着物やのれんなどに使われる「浜千鳥」の模様に似ている。繊細なデザインで、春先にひっそりと咲いて姿を消すという生活史も繊細な植物だ。

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銀色の草原

田んぼの畦や堤防などにはチガヤというイネ科の雑草が生えている。普段は葉ばかりで目立たないが、花穂を出すと一面が銀色になる。

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チガヤは地下茎をしっかり張るので、緑化植物として有効とされている。写真はチガヤ草地を作ろうと試験を丸3年行っている場所のもの。試験開始時は花を殆ど付けずに、少しチガヤが目立つ程度だったが、今では一面銀色の花穂を出すようになり、良いチガヤ草地になった。風が吹くと花穂がなびいて本当に美しい。

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アスパラガスの花

身近に帰化する食用植物の花第2弾。

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堤防や畦に多く帰化するアスパラガス。アスパラガスAsparagusというのは森林から海岸に生育するクサスギカズラ属の植物のラテン名だ。人里に帰化しているのはアスパラガスの1種で和名をオランダキジカクシという。

日本産のアスパラガスはキジカクシという種類があるが、残念ながら写真がなかった。

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ハードディスク内を見ると何年も前に愛媛県で撮影したクサスギカズラの写真が出てきた。これもアスパラガスに属す。オランダキジカクシやキジカクシは葉が柔らかく若芽は食用になるが、このクサスギカズラはその名の通りスギの葉に似て固い。あまり食用になりそうな姿はしていない。

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マスタードの花

日本のワサビも西洋のマスタードも同じアブラナ科の植物の地下部を使う。

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安曇野には比較的多いセイヨウワサビの花。この地下部分をすりおろしたのがマスタードになる。一度その味を試してみたいと思うが、リンゴ畑の周辺に多いため、農薬まみれになっている。除草剤への抵抗性も高く、周りが全て枯れているのに青々と生育している。太くなった地下部にはさぞ多くの農薬成分が蓄積されているのだろうと思うと手を伸ばしにくい。

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観賞植物

現在日本に帰化している植物の中にはもともと観賞用として輸入されたものが多い。

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キク科のハルジオンも観賞用に輸入されたとされる。現在では観賞用に育てている人はまずいないと思うが、田んぼの畦などで細々と生き残っている。日本全国に帰化しているが、生育している環境は限られている。よく似たヒメジョオンはさらに広い環境に適応しているような気がする。畦に沢山ハルジオンが咲いている姿を見ると観賞用に輸入されただけあって、かなり見応えがある。

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シバに紛れて

最近シバ地に関連した記事が多い。こういった草地の植生関連の調査をやっていると、日頃の発見がどうしても草地に偏ってしまう。

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ただのシバ地に見える中にやや広い葉が混じっている。これはハマハナヤスリというシダ植物。海岸沿いのシバ地や砂地に多いが、内陸にも出てくる。小さな棒のような胞子葉を出して春の間だけでて初夏には消滅するというシバ地のスプリングエフィメラルだ。

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雨上がりの快晴

数日前多くの雨が降り、その後カラッと晴れ上がった。ニセアカシア前線も南信から徐々に北上し、中信地方に届こうとしている。

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先日もニセアカシアの花の写真をアップしたが、やはりニセアカシアの花は晴天で映える。この花には蜜が多く、ミツバチがひっきりなしに訪れていた。また、花を天ぷらにすると甘くて美味しい。同じマメ科で花の作りのよく似たフジも天ぷらにして食べることができ、先日お世話になっている先生に頂いたフジの花の天ぷらは美味しかった。

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シバ地の指標

シバ地というとシバを張ったグラウンドなどのシバのみの草地を指す場合と、自然に成立したシバをメインとして様々なものが混生している草地を指す場合がある。後者の場合、家畜に食べられたり、シバ焼きや草刈りによって維持され、人里付近に存在する事が多い。

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シバ焼き、草刈りによって長期間維持されている草地にはシバスゲが必ずと言って良いほど出現する。上の写真のなかに、何本か地味な花が写っているが、しっかりピントが合っているのに分かりづらい。このような花が点々とある場所は他にも地味な植物が多い。遠くからはシバだけにみえる草地もカメレオンのように上手に周囲にとけ込んで様々な植物が生育している。

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ひっそりと…

人里近くの農耕地を歩いていると発見が多い。

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スズメノテッポウに少し雰囲気の似たセトガヤ。ただ、おしべの色を比べないと分からないほどそっくりではなく、スズメノテッポウにしては荒々しすぎるので見かければ「あれ?」と思う。長野県内では殆ど見ないのに南信の農耕地の水路で密かに生き残っていた。水路の脇には除草剤がまかれ、草が枯れているが、水路内にまでは影響がなかったようだ。

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水路の中に群生しているのはすべてセトガヤ。これだけセトガヤが農薬を使われている農地に隣接して生えているのは本当に珍しい。一年草なので来年同じ場所に出るとは限らず、今後の動向が心配だ。

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華やかな堤防

土手の植物の構成は管理の仕方1つでガラッと変わる。

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これまでと管理方法を少し変えたら、とある場所では一面にニガナが咲いた。本当に園芸植物の花畑みたいだ。かつて、「ワイルドフラワー」として外来種を吹き付けて綺麗に飾っていた時代があった。ニガナは春先だけ一面に咲くが、後は小さなロゼットでひっそりと生きているのでシバなどに悪いことはないと思う。ニガナは日本に昔からあるものなので、本当の「ワイルドフラワー」かもしれない。

ちなみに、この写真のニガナを1本持って帰って押し葉にして、つぶさに花を数を数えて「ニガナ」とした。図鑑によってはこれくらい小花の多いものを「ハナニガナ」という別種にしているものもある。今回は少し厳密に小花の数を規定した図鑑に因った。厳密なハナニガナはもっとバーと明るく咲く。

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旗を掲げて

春から初夏にだけ大きくなって、他の季節はずっとロゼット状の葉だけですごす植物は草原に多い。それらの植物は火入れ、草刈りなどの管理が行われてきた田んぼの畦や茅場を生育地としてきたものが多い。

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このハタザオはアブラナ科の植物で、他の季節は小さなロゼットで過ごしているが、春になると急激に伸びて高さ1mに達する。花を下から順番に付けて沢山の実を付ける。その名のごとく旗や鯉のぼりを掲げる「旗竿」に見える。初夏の草刈りの頃にはしっかりと実を付けているので、人間の管理によって種子をあちこちにまき散らすことになる。その後はまた、小さなロゼットの姿に戻る。ハタザオという種類の誕生は人類が誕生するはるか前のことなのだが、偶然にもその生活史が人間の里の管理のタイミングに適応している。

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低層湿原の花

「湿原」というと高原の水苔湿地で夏になると花だらけになるという印象が強い。このような湿地を高層湿原という。標高の低い場所にできる湿原を低層湿原といって、河川の氾濫源や休耕田のなれの果てなど身近な環境にある。有名なサギソウやトキソウ、カキツバタは低層湿原に生える。これらの花がぽつんぽつんと咲くのが低層湿原の姿だ。

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棚田の脇に咲いたサワオグルマ。古い棚田は法面の所々にチョロチョロと水が流れていて、法面草地の一部が小さな湿地になっている。このサワオグルマも低層湿原の象徴的な存在で、日本全国でこのような綺麗な花を咲かせる。この棚田は「良い草地」に小さな低層湿原が混じったすばらしい場所だ。

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