山のオダマキ
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週末、県内のシダ好きの人たちが集まる「信州シダの会」の例会に参加させて頂き、美ヶ原山麓でいろいろなシダの観察を行った。「シダ観察」を主としているためディープかつ楽しい集まりだった。意見交換をしながら、美しいシダや花をいくつも観察できたが、天気予報は午後から激しい雨が降るというのでカメラは持たず、観察に専念した。いつもの事ながら、その辺にありふれた種類を見て、当たり前の様に分かる種類と一寸した変異に頭を抱える種類があり、身近な場所を確実に理解することの重要性を痛感した。結局殆ど雨は降らず、カメラのないことに後悔するような場面に何回も遭遇し、そろそろ防水機能のあるサブカメラを持ちたいと思った。せめて、好きなミヤマワラビ、ヤマヒメワラビ、ラン科植物くらいは確実に写真に収めたいので、また撮りに行こうと思う。
帰り道、林道沿いの草地に咲いているスズランを見つけ、数枚写真を撮った。写真はそのうちの1枚。この時期まだ標高の高い場所には花が少ないため、なかなか登ることがない。平地ではとっくに終わっているレンゲツツジの花が満開で、点々とスズランが咲いていた。
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ラン科の植物には緑色の花をつけるものがある。
写真はヤマサギソウ。ヤマサギソウを含むツレサギソウ属の仲間は地味な緑色の花をつける。花があっても周囲の草に紛れて見つけづらい。この属は花粉を媒介する昆虫と花の形の対応やその進化について研究され、花粉媒介の研究の世界では有名な属になっている。
花の形が特徴的といっても種ごとに極端に違う訳ではないため、現場ではオオバノトンボソウや、ホソバノキソチドリ、コバノトンボソウといったそっくりさんとの識別が困難で、写真をアップで撮影しておいた。草地性のツレサギソウ属は火入れ、草刈りなどの長期間の管理があってようやく生育できるものが多い。中には牛や馬が放牧されている場所に点々と生育している場所もある。
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大概の生き物の名前はその外見が名前の由来になっている。
ヘビが頭を上げたような見た目をしたマムシグサの花。正確には苞で、この苞の中に小さな花が沢山咲いている。名前の由来はこの植物の茎の模様がマムシの鱗の模様に似ているからだという。このマムシグサは見た目だけではなく、花粉の媒介様式も独特だ。小型のハエが花粉を運ぶのだが、花粉を外に持って行ってもらう時には、花の苞の根元の小さな穴が開いていて、いつでも外に出て行ける状態になっている。ところが、外から花粉を付けたハエがやってくる頃には苞の穴がふさがり、花粉を付けたハエはめしべに花粉を運んだまま外に出ていくことはできない。花の中の雄花と雌花の咲くタイミングをずらして、花を包む苞の形を変化させるという巧妙な戦略を持っている。
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土手の植物の構成は管理の仕方1つでガラッと変わる。
これまでと管理方法を少し変えたら、とある場所では一面にニガナが咲いた。本当に園芸植物の花畑みたいだ。かつて、「ワイルドフラワー」として外来種を吹き付けて綺麗に飾っていた時代があった。ニガナは春先だけ一面に咲くが、後は小さなロゼットでひっそりと生きているのでシバなどに悪いことはないと思う。ニガナは日本に昔からあるものなので、本当の「ワイルドフラワー」かもしれない。
ちなみに、この写真のニガナを1本持って帰って押し葉にして、つぶさに花を数を数えて「ニガナ」とした。図鑑によってはこれくらい小花の多いものを「ハナニガナ」という別種にしているものもある。今回は少し厳密に小花の数を規定した図鑑に因った。厳密なハナニガナはもっとバーと明るく咲く。
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春から初夏にだけ大きくなって、他の季節はずっとロゼット状の葉だけですごす植物は草原に多い。それらの植物は火入れ、草刈りなどの管理が行われてきた田んぼの畦や茅場を生育地としてきたものが多い。
このハタザオはアブラナ科の植物で、他の季節は小さなロゼットで過ごしているが、春になると急激に伸びて高さ1mに達する。花を下から順番に付けて沢山の実を付ける。その名のごとく旗や鯉のぼりを掲げる「旗竿」に見える。初夏の草刈りの頃にはしっかりと実を付けているので、人間の管理によって種子をあちこちにまき散らすことになる。その後はまた、小さなロゼットの姿に戻る。ハタザオという種類の誕生は人類が誕生するはるか前のことなのだが、偶然にもその生活史が人間の里の管理のタイミングに適応している。
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