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2008年5月

ジオラマの世界

模型の世界ではいろいろなものを使って本物らしく見せる工夫をする。

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乾燥した場所に生育するハナヌカススキ。花が糠のように細かいイネ科の帰化植物。この穂を束ねて色をつけると、ジオラマの樹木になる。ハナヌカススキが群生すると照葉樹林のこんもりした形に見える。

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シロツメクサに混じって生育するハナヌカススキ。少し離れてみると高さ10センチの大森林ののできあがりだ。

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小さなキンギョソウ

園芸植物にキンギョソウという植物がある。花の形が泳いでいる金魚の姿に似ているというのがその理由だ。

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キンギョソウの近縁種、マツバウンラン。シバ地や農耕地などに生育する帰化植物だ。花の大きさはせいぜい3~4mmくらいで小さい。花は着物やのれんなどに使われる「浜千鳥」の模様に似ている。繊細なデザインで、春先にひっそりと咲いて姿を消すという生活史も繊細な植物だ。

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銀色の草原

田んぼの畦や堤防などにはチガヤというイネ科の雑草が生えている。普段は葉ばかりで目立たないが、花穂を出すと一面が銀色になる。

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チガヤは地下茎をしっかり張るので、緑化植物として有効とされている。写真はチガヤ草地を作ろうと試験を丸3年行っている場所のもの。試験開始時は花を殆ど付けずに、少しチガヤが目立つ程度だったが、今では一面銀色の花穂を出すようになり、良いチガヤ草地になった。風が吹くと花穂がなびいて本当に美しい。

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大草原の小さなカメムシ

キバネツノトンボに続き、草地に生息し希少とされる昆虫には大きさ5mmに達しないものもある。

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シロヘリツチカメムシがその小さな希少種だ。野焼きや草刈りによって維持されている背の低い草地に生息する小さなカメムシだ。このカメムシはこれまたカナビキソウという目立たない植物に群がる。この目立たない植物に群がる目立たない昆虫も草地の重要な構成員なのかと思うと生態系の複雑さは、そうそう説明できないものであるのと同時に細かいものへの配慮というのも大事だと思う。

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初夏の飛翔

高温多湿の日本では自然状態で森林が成立するため、草地という環境は遷移の初期か人為的に維持されている場所に限られる。当然、草地に生息する昆虫というのも棲む場所が限られる。そのため、人里近くに生息していながら、希少とされるものも多い。

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キバネツノトンボもそんな草地の昆虫だ。「トンボ」とついているが、どちらかと言えばアリジゴクに近い。綺麗な黄色い羽根と長い触角が特徴。広い草地を飛び回るために広い視界が必要で、眼(複眼)が大きい。アップでみると結構かわいらしい。

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天竜川の堤防の上を気持ち良さそうに飛び回るキバネツノトンボ。ずっとおなじルートを飛び回るので何かを見張っているみたいだ。こののんびりした飛翔をする昆虫は天竜川の初夏の代表選手だろう。

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アスパラガスの花

身近に帰化する食用植物の花第2弾。

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堤防や畦に多く帰化するアスパラガス。アスパラガスAsparagusというのは森林から海岸に生育するクサスギカズラ属の植物のラテン名だ。人里に帰化しているのはアスパラガスの1種で和名をオランダキジカクシという。

日本産のアスパラガスはキジカクシという種類があるが、残念ながら写真がなかった。

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ハードディスク内を見ると何年も前に愛媛県で撮影したクサスギカズラの写真が出てきた。これもアスパラガスに属す。オランダキジカクシやキジカクシは葉が柔らかく若芽は食用になるが、このクサスギカズラはその名の通りスギの葉に似て固い。あまり食用になりそうな姿はしていない。

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マスタードの花

日本のワサビも西洋のマスタードも同じアブラナ科の植物の地下部を使う。

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安曇野には比較的多いセイヨウワサビの花。この地下部分をすりおろしたのがマスタードになる。一度その味を試してみたいと思うが、リンゴ畑の周辺に多いため、農薬まみれになっている。除草剤への抵抗性も高く、周りが全て枯れているのに青々と生育している。太くなった地下部にはさぞ多くの農薬成分が蓄積されているのだろうと思うと手を伸ばしにくい。

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観賞植物

現在日本に帰化している植物の中にはもともと観賞用として輸入されたものが多い。

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キク科のハルジオンも観賞用に輸入されたとされる。現在では観賞用に育てている人はまずいないと思うが、田んぼの畦などで細々と生き残っている。日本全国に帰化しているが、生育している環境は限られている。よく似たヒメジョオンはさらに広い環境に適応しているような気がする。畦に沢山ハルジオンが咲いている姿を見ると観賞用に輸入されただけあって、かなり見応えがある。

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シバに紛れて

最近シバ地に関連した記事が多い。こういった草地の植生関連の調査をやっていると、日頃の発見がどうしても草地に偏ってしまう。

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ただのシバ地に見える中にやや広い葉が混じっている。これはハマハナヤスリというシダ植物。海岸沿いのシバ地や砂地に多いが、内陸にも出てくる。小さな棒のような胞子葉を出して春の間だけでて初夏には消滅するというシバ地のスプリングエフィメラルだ。

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雨上がりの快晴

数日前多くの雨が降り、その後カラッと晴れ上がった。ニセアカシア前線も南信から徐々に北上し、中信地方に届こうとしている。

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先日もニセアカシアの花の写真をアップしたが、やはりニセアカシアの花は晴天で映える。この花には蜜が多く、ミツバチがひっきりなしに訪れていた。また、花を天ぷらにすると甘くて美味しい。同じマメ科で花の作りのよく似たフジも天ぷらにして食べることができ、先日お世話になっている先生に頂いたフジの花の天ぷらは美味しかった。

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シバ地の指標

シバ地というとシバを張ったグラウンドなどのシバのみの草地を指す場合と、自然に成立したシバをメインとして様々なものが混生している草地を指す場合がある。後者の場合、家畜に食べられたり、シバ焼きや草刈りによって維持され、人里付近に存在する事が多い。

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シバ焼き、草刈りによって長期間維持されている草地にはシバスゲが必ずと言って良いほど出現する。上の写真のなかに、何本か地味な花が写っているが、しっかりピントが合っているのに分かりづらい。このような花が点々とある場所は他にも地味な植物が多い。遠くからはシバだけにみえる草地もカメレオンのように上手に周囲にとけ込んで様々な植物が生育している。

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ひっそりと…

人里近くの農耕地を歩いていると発見が多い。

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スズメノテッポウに少し雰囲気の似たセトガヤ。ただ、おしべの色を比べないと分からないほどそっくりではなく、スズメノテッポウにしては荒々しすぎるので見かければ「あれ?」と思う。長野県内では殆ど見ないのに南信の農耕地の水路で密かに生き残っていた。水路の脇には除草剤がまかれ、草が枯れているが、水路内にまでは影響がなかったようだ。

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水路の中に群生しているのはすべてセトガヤ。これだけセトガヤが農薬を使われている農地に隣接して生えているのは本当に珍しい。一年草なので来年同じ場所に出るとは限らず、今後の動向が心配だ。

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ホタルのつる

草地には林縁や林床の植物が生えていることがある。少し暗い環境を好む植物にとって、ススキやチガヤのような大型の草本であろうが、樹木であろうが、上に何かが繁茂していれば良いのだろう。

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ホタルカズラも明るい林床、林縁から草地の広い環境に生える。「蛍葛」という名前のどのあたりが蛍なのだろう。花が蛍の光の様に見えないでもないが、詳しくは分からない。ホタルカズラの花が盛りを過ぎると人里には本当のホタルが舞い始める。

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華やかな堤防

土手の植物の構成は管理の仕方1つでガラッと変わる。

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これまでと管理方法を少し変えたら、とある場所では一面にニガナが咲いた。本当に園芸植物の花畑みたいだ。かつて、「ワイルドフラワー」として外来種を吹き付けて綺麗に飾っていた時代があった。ニガナは春先だけ一面に咲くが、後は小さなロゼットでひっそりと生きているのでシバなどに悪いことはないと思う。ニガナは日本に昔からあるものなので、本当の「ワイルドフラワー」かもしれない。

ちなみに、この写真のニガナを1本持って帰って押し葉にして、つぶさに花を数を数えて「ニガナ」とした。図鑑によってはこれくらい小花の多いものを「ハナニガナ」という別種にしているものもある。今回は少し厳密に小花の数を規定した図鑑に因った。厳密なハナニガナはもっとバーと明るく咲く。

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旗を掲げて

春から初夏にだけ大きくなって、他の季節はずっとロゼット状の葉だけですごす植物は草原に多い。それらの植物は火入れ、草刈りなどの管理が行われてきた田んぼの畦や茅場を生育地としてきたものが多い。

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このハタザオはアブラナ科の植物で、他の季節は小さなロゼットで過ごしているが、春になると急激に伸びて高さ1mに達する。花を下から順番に付けて沢山の実を付ける。その名のごとく旗や鯉のぼりを掲げる「旗竿」に見える。初夏の草刈りの頃にはしっかりと実を付けているので、人間の管理によって種子をあちこちにまき散らすことになる。その後はまた、小さなロゼットの姿に戻る。ハタザオという種類の誕生は人類が誕生するはるか前のことなのだが、偶然にもその生活史が人間の里の管理のタイミングに適応している。

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低層湿原の花

「湿原」というと高原の水苔湿地で夏になると花だらけになるという印象が強い。このような湿地を高層湿原という。標高の低い場所にできる湿原を低層湿原といって、河川の氾濫源や休耕田のなれの果てなど身近な環境にある。有名なサギソウやトキソウ、カキツバタは低層湿原に生える。これらの花がぽつんぽつんと咲くのが低層湿原の姿だ。

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棚田の脇に咲いたサワオグルマ。古い棚田は法面の所々にチョロチョロと水が流れていて、法面草地の一部が小さな湿地になっている。このサワオグルマも低層湿原の象徴的な存在で、日本全国でこのような綺麗な花を咲かせる。この棚田は「良い草地」に小さな低層湿原が混じったすばらしい場所だ。

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稲作とともに

帰化植物の中には稲作とともに大陸から日本にやってきたものとされるものがある。「史前帰化植物」と呼ばれている。現在人里にある植物の殆どが、この史前帰化植物だ。

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これはキツネアザミ。休耕田や線路の脇などに咲いている。清楚な姿をしたアザミの一種だ。北海道にはエゾノキツネアザミという大きな花を付ける別種がある。初夏の農耕地の名脇役はその昔稲作とともに日本にやってきたとされている。

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ツツジの花

落葉樹の葉が完全に展開して、遠くからでは林床が見えなくなったこの頃。

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レンゲツツジの花。長野県ではオニツツジと呼んでいる。レンゲツツジというと高原の草原にある印象が強いが、コナラ林などには結構多い。

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ヤマツツジの花も満開だ。場所によっては林床が真っ赤になるくらい繁茂していることがある。

レンゲツツジもヤマツツジも毒があるそうで、蜜にまで毒があるらしい。ヤマツツジを見かけるとついつい花を摘んで蜜を吸っているが、知らず知らずのうちに毒が蓄積しているのかと思うと少し控えなければいけないのかもしれない。

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アカシアの咲く頃

アカシアの別称はミモザという。黄色い花を春に付ける。

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今ニセアカシアの花が最盛期だ。ミモザには一寸似ているとは思えない。学名上の種小名は「pseudoacacia」。pseudo(偽の)acacia(アカシア)そのまんまだ。普段ミモザの植栽というのをあまり見ないため、アカシアという名前を聞いてまず連想するのはこの白い花だ。アカシアの蜜として販売されているものも実はニセアカシアの蜜。

京都清水寺の発表した昨年を表す漢字は「偽」。あまり印象の良い文字ではない。能動的な偽は悪いことばかりだが、受動的に偽という言葉を冠することになったニセアカシアは昔は砂防のために植えられ、現在では養蜂業者に重宝されており、結構人間の役に立っている部分もある。環境省の定める要注意外来生物に指定された今、良い「偽」に転ぶのか、悪い「偽」に転ぶのかは人間にかかっているのかもしれない。

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普通のフジ

信州の山はようやくフジの花が花盛りを迎えている。

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フジの花はいわゆる藤色で、花の穂がヤマフジよりも長い。温帯の落葉樹林の明るい芽だしの色にはフジの方がしっくりする。遠くからでも花が目立つため、この時期の山の風景には欠かせない色彩だ。

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知覧町観光

いきもの観察以外に薩摩半島南部の知覧町を1時間ほど散歩した時の写真。

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かつて特攻隊の飛行場があったこの場所には特攻機「隼」が再現されていた。意外に大きいものだと思った。最近上映された映画に合わせて作られたそうだ。翼の片方には燃料タンク、片方には爆弾という見ただけで片道燃料というのが分かる。

知覧町にはオオキンケイギクが沢山あり、戦前から繁茂していたという。それを特攻花として特攻隊員も大事にしていたそうだ。地域によってはオオキンケイギクの近縁のテンニンギクだったそうな。確かにこれらの植物は海辺や道ばたに沢山咲く姿は綺麗なものだ。

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知覧町には江戸時代の武家屋敷が並んでいる。当時のままの石垣や屋敷が残されている。屋敷の石垣には常緑樹が植えられていて、ハランやソテツなどの植栽が南国の武家屋敷の雰囲気を醸し出している。

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南の渓流II

万之瀬川の渓流は両岸がずっと岩場で、岩の上には照葉樹が鬱蒼と茂っている。

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岩の陰にスジヒトツバが生えていた。2年前に沖縄でみたことのあるシダだ。オーバーハングになって湿度が高い場所にだけ点々とあった。

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サツキの様で、花の色が濃くて、花弁に光沢のあるマルバサツキ。現地ではサツキの生育環境なのにデザインはサツキと全く違うので、何者か分からず、帰ってから調べた。サツキは鹿児島県には存在しないようだ。マルバサツキは少しクルメツツジの花に似た九州色だ。

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南の渓流I

鹿児島県万之瀬川は薩摩半島南部を流れている。

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岩には穴が空き南西諸島のポットホールと風景は変わらない。この場所から数km下流に行くと広大な砂浜が広がる海に出る。深い常緑樹林からいきなり海に到達するあたりも南西諸島の様な感じだ。

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飛んでいたチョウはヒオドシチョウかと思ったら、タテハモドキだった。大きな目玉模様が特徴の南方のチョウだ。

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水のしみ出す場所にはモンキアゲハが集団で吸水していた。川沿いには本州にもあるような草が生えていたので、まだ本土なのだと思えるが、南西諸島や東南アジアと変わらない風景(勝手に想像している)だろう。

万之瀬川を歩いた日は鹿児島県は30℃に達し、岩ばかりの川辺で危うく熱中症になりそうだった。

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大きなフジ

南に生育するヤマフジは普通のフジに比べて花が大きく青みが強い。フジ棚で作られているフジが山のものより花が大きいのは品種改良の影響もあるが、その原種がフジではなく、ヤマフジであることに因る。

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本州のフジになれていると何事かと思うほど花が大きい。花の房も短く、フジというより南方系のモダマやデイゴの様な花の付き方をする。

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花の色のコントラストが強く、花弁には少し光沢がある。朝日が少し当たっただけでストロボを当てたような写真になった。本州から南へ向けて移動すると道路沿いに咲いているのが、フジから近畿あたりでヤマフジが混じりはじめるようになり、四国ではヤマフジがやや多め、九州は圧倒的にヤマフジが多い状態になる。1つの分類群に着目すると気候の変化を顕著に感じることができる。これをいろいろな分類群で総合的に消化できるようになると、自然のいろいろな変化を肌で感じるようになるのだろう。いつかはそうなりたいものだ。

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吉野川の初夏

南九州からの帰りは、四国にフェリーで渡り、淡路島経由で帰った。四国をただ通過するだけではもったいないので、徳島県の吉野川河口に寄った。雲1つない最高の天気で、アサリを捕っている人々が沢山いた。アサリを捕っている人の周りで渡り途中のチュウシャクシギとダイゼンがカニや貝をついばんでいた。

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砂浜には帰化植物のナヨクサフジが満開だった。眼がチカチカするくらい派手な紫色だ。

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ナルトサワギクも満開だった。鳴門から淡路島、神戸に沢山ある。今回行った鹿児島にも空き地に少しだけ生えていた。これは持ち出し、栽培が禁止されている特定外来生物だ。選定理由は「海外で牛がこの植物を食べて中毒を起こしたことがあるため」。キク科はアルカロイドを多く含むため、中毒を起こすものが多い。ヨモギだって生長しきった葉を食べると深刻な中毒を起こす。他になにか理由はなかったのだろうか。

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城山の植物

鹿児島市はあいにくの雨。城山に登ったが、目の前にあるはずの桜島すら見えない。昨日は遠く離れた知覧町からも見えていたというのに…。

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昨日、知覧町から見えた桜島。錦江湾に「もや」がでて幻想的な感じで見えた。

城山は島津氏の居城であったとともに、西南戦争終焉の地である。明治初期は鹿児島県庁としても使われた。また、暖地性植物が多く生えているというので国の天然記念物にも指定されている。幕末・明治の史跡と自然が両方存在する夢のような場所だ。

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城山で記載され、その名を冠する「シロヤマシダ」。太平洋岸には点々と存在するが、城山で見ると少しだけうれしい。

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同じく城山で記載された「シロヤマゼンマイ」。今のところ、ここでしか見たことがない。もう少し南には普通に生育しているそうだ。沖縄のヒリュウシダという種類のミニチュア版のようだ。

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城山周辺の一般的な石垣。ヒメイタビというツル植物がびっしりと覆い、日本版アジアンタムであるホングウシダが垂れ下がる。ホングウシダという種類を初めて自分で調べて覚えたのが城山だった。島津氏が治めていた時代や西南戦争で大量の砲弾が飛び交っているときもこれらの植物は一面にあったのだろう。

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阿蘇山の「良い草地」

ゴールデンウィークは本州を離れて、九州にやってきた。

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熊本県の阿蘇山の夜明け。向こう側に見えるのは外輪山。阿蘇山は放牧と火入れで本来樹林になるはずの場所が草地の状態で維持されている。

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牧場の縁で良い感じの草地を見つけた。運良く草地の色の違いに遠くから気づくことが出来た。そこにはワレモコウやツリガネニンジン、ヒメスゲなどの高原の良い草地の象徴があった。まだ朝早く観光客がやってくる前なので、道ばたに車を止めてじっくり見ることにした。

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10mほど歩いていくとなんとキスミレを見つけた。「良い草地」の20m位の範囲に沢山生えていた。このスミレ、本当に良い草地にしかない。綺麗なので、阿蘇山でもさんざん盗掘に遭い、人目につく場所は惨たんたるありさまだという。ちょうど数日前、監視の回数を増やすというのをテレビニュースでやっていた。あまり人目に触れない場所にある「良い草地」でひっそりと咲いていたとは。写真を撮っているところを人に見られると、キスミレのありかを教えてしまうことになってしまうので、ゆっくり見るのをやめ、さっさと写真だけとってその場所を離れた。短い時間であったが、強烈な目覚ましになった。

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どこまで北方?

近頃すっかり深みにはまりつつあるヤナギ類。東北で少しだけ自信をつけた北方のシロヤナギの識別。もともと富山の川でコゴメヤナギと区別のできないものの存在を人から教えて頂き、実際に見に行って余計に分からなくなったという背景がある。

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富山県の河口部で撮影したシロヤナギとはっきり識別できたもの。川をさかのぼっていくと上流部ではコゴメヤナギになっていた。芽だしの葉を見るとシロヤナギとコゴメヤナギが少し様子が違う。図鑑にも葉の違いに関しては記述があるが、標本をみても分からなかった。もしかして乾燥する前は違うのかも、と思った。夏に東北や北陸にいってきちんと生きた葉の写真を撮影する必要があると感じた。

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浜辺の春

山にはフジ、スミレが花盛りを迎えているが、海辺も花盛りになっている。

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ハマエンドウも辺り一面を覆い尽くしていた。ソラマメなどの食用のマメと同属。花の美しさは浜辺でも群をぬいている。草むらに生えている同属の植物よりもはるかに葉が厚く、厳しい乾燥に耐えている。

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コウボウムギも今が花盛り。高さは5cm程度だが、砂浜で不足する水分を吸収するために20cm以上掘らないと茎の根元が見えない。

小さな「砂漠」に適応したものは皆、一寸見たところでは華やかで端正なデザインをしているが、その厳しい環境で生き抜くために巧妙な戦略を持っている。

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