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2008年4月

海へ…

ヤナギ類の花が終わる前に少しでも標本をかき集めようと富山までいった。片道2時間なので、半日で行って帰ってこれる良いフィールドだ。富山県は北日本、東日本、西日本のヤナギが一斉に生育してる。河口部では海辺の花がちょうど見頃だった。

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写真はハマハタザオ。先日紹介した近縁のハクサンハタザオに比べるとずいぶんと葉が厚い。塩や砂浜という乾燥した環境への適応だろう。また、花も大きい。海沿いの花は高山植物にも負けない位花が大きく色彩がはっきりしているものが多い。高山植物は強い紫外線を反射するためと、少ない花粉媒介者を引きつけるために派手な色彩と大きな花をつけるようになったという。砂浜という環境はもしかしたら紫外線が強く、花粉を媒介する昆虫が少ないため、高山の環境に近いのかもしれない。

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桜の季節

そろそろフジの花も咲き始め、初夏になろうとする今日この頃。気が付くとサクラを主人公にした話を1つも書いていなかった。

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ヤマザクラと何かの雑種か、ヤマザクラの八重咲き品種。ソメイヨシノと一緒に咲いていたので、サトザクラと呼ばれるヤエザクラとは違うと思うのだが、200品種とも300品種とも言われるサクラは全く分からない。現在はっきり種名を断言できるのは数種類かもしれない。

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東北で撮影したオクチョウジザクラと思われるチョウジザクラもどき。チョウジザクラは萼が長く花を横から見ると「丁」の字に見えることから名付けられた。このチョウジザクラの仲間もよく他の種と雑種をつくる。上の写真をみるとチョウジザクラにしては少し萼が短い。かといって何との雑種だろうかと考えた時、少しマメザクラの雰囲気がある気がするが、マメザクラは東北に分布していない。チョウジザクラの仲間でさえはっきり断定できない。奥が深いというか、訳が分からないというか…。

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謎の物体

シダは普通鳥の羽根の様に細かく分かれた葉を持つものが多い。

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ヒカゲノカズラという種類はシダとは思えない形をしている。これもシダ植物とされている。シダの系統を見ていると何らかのまとまりがあるというより、維管束があって顕花植物ではないものをひとまとめにしてシダとする感がある。分類の話は別としてこのヒカゲノカズラをはじめて見ると一体何の仲間なのか分からない。植物を形作るパターンがない。ひたすら分岐して伸び続ける。かつて水中から陸に上がったばかりの植物はきっと重力に逆らわずに決まった形を持たずに気ままに育っていたのかもしれない。

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Cardamineの自信

アブラナ科のタネツケバナの仲間の識別は本当に困難だ。会津に行った時も道ばたをつぶさに観察した。

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オオバタネツケバナとの区別が曖昧なミズタネツケバナもじっくりと観察して少し自信が持てた。図鑑によってはオオバタネツケバナと同一と扱われるミズタネツケバナは色々な地方で採集して押し葉にしたが、識別する上で、これという決定打に欠ける。軽い気持ちでネット検索で調べるとおかしな情報が満載、本当に玉石混淆だ。一番参考になったのは古い線画図鑑。昔の人の認識能力の高さというのは尋常ではない。やはり種類の多い植物は何十年も継続して初めて身近な種類を確実に認識できるのかもしれない。

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日帰りとはいえ、今回の会津はいろいろな収穫があった。もう少しレベルアップしたら、このあたりにも頻繁に通いたいと思った。

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城内の花

鶴ヶ城の城内は隅々まで刈り取りが行われているため、多くの野草が生育するのは難しい。

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刈り取りに強いシバスゲやアオスゲといったスゲ類に混じってエゾタンポポが咲いていた。長野県にあるシナノタンポポそっくりというより外観での識別は不可能と言われる。花が少しほっそりしていて、総苞(花の萼にみえる緑色の部分)が少し小さい気がするが、長野県内のシナノタンポポにも変化があり、実際に並べても分からないと思う。

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石碑の裏で刈り取りを免れたオオタチツボスミレも咲いていた。

城内では桜以外で花を付けているものは殆どなかったが、数少ない花だけでも雪の多い地方でやや北よりの分布を持つという特徴を表していた。

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爪楊枝の花

クスノキ科のクロモジという樹木は香りがよく、高級な爪楊枝の原料にされる。

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会津若松で撮影したオオバクロモジ。クロモジとは変種関係で、雪の多い地方にある葉の大きなタイプ。ちょうど花盛りで、この仲間独特の樟脳のような匂いが立ちこめていた。

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ここではコナラやアカマツの生い茂る二次林に沢山生育していた。他にはショウジョウバカマやチョウジザクラなどが咲いていて、雪が解けたばかりのようだった。ゴールデンウィークの頃には林床一面に花が咲くのだろうと思うと、今から楽しみで仕方がない。

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会津の花

会津は今が春真っ盛り。

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川辺にはハクサンハタザオ(?)が咲いていた。果実がなく決定打にかけるが、花が大きめで結構目立つ。ハクサンハタザオというと根元から沢山枝を分けてこんもりと茂るものだが、これは出始めなのだろうかと悩んだ。帰ってから、以前作った押し葉を確認したら正解のようだ。出始めはこんなに華奢なものだったとは。

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川の堤防の一角に数十メートルの「良い草地」があった。定期的な草刈り、除草剤が使われていない、履歴が長いなど良い草地が成立する要因は複数ある。良い草地をゆっくり歩くとアイヅスゲの小さなパッチがあった。上の写真の右後方にうっすらと磐梯山が写っている。アイヅスゲ、カラスノエンドウ、スイバ、チガヤ…東北の春のごく普通の姿を堪能出来たことは今回の最大の収穫かもしれない。

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北方のSalix

喜多方と会津若松の間でヤナギ類が良い感じで生育している川を見つけて、つぶさに見て回った。今回会津までやってきた本当の目的はヤナギ属の中でも北に生育するシロヤナギという種類を確認することだ。中部地方には殆ど一緒の姿のコゴメヤナギという種類があり、長野県ではいまいちどちらなのか分からない。子房に毛があると「シロヤナギ」と断定されることが多いそうだが、顕微鏡で見ると子房に毛の少しだけあるシロヤナギのようなコゴメヤナギをよく見る。シロヤナギばかりの会津のものはどうなのだろうか。

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シロヤナギの雄花。綺麗な黄色の花粉が目立ち、ミツバチがひっきりなしに訪れていた。

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シロヤナギの雌花。子房をみると8倍程度の倍率でもビロード状の毛が密生しているのが分かった。松本のあたりの子房に少し毛のあるコゴメヤナギをみて頭を抱えていたのが嘘のようだ。やはり本場できちんと観察することが大切なのだと感じた。

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脇道にそれて…。

ヤナギの仲間で、確実に北方の種がある場所にまで足を伸ばそうと思い磐越道を通って会津まで行ったのだが…

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会津若松市内で「→鶴ヶ城1km」などという看板をみて幕末好きの人間が足を運ばないわけにはいかない。知っている鶴ヶ城というのは明治初期に撮影された戊申戦争で損傷して穴ぼこだらけで傾いたの姿(幕末資料の見過ぎかも)だが、現在ではコンクリートで作られていた。実は天守閣は取り壊されたままだと今日まで思いこんでいた。相当悲壮な気持ちで入った鶴ヶ城だが、桜が満開で明るい雰囲気だった。城内は5階建ての資料館になっていて、戊辰戦争140周年記念展示があった。

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鶴ヶ城天守から白虎隊関連の話で有名な飯盛山方向を見る。

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城の隅にある時を告げる鐘。案内板にも大きく書いていないため、あまり人は訪れない。戊申戦争時、鐘を打つ係は外堀からの狙撃をうけ何人も亡くなったそうだが、鶴ヶ城開城までこの鐘は定時に鳴らされていたそうだ。会津の街に西軍が入ってから開城まで約1ヵ月。会津市街に西軍が入った次の日に白虎隊の悲劇があり、街中の女たちが自害して、残った武家の人間は城に立てこもり…。あまりにも長い1ヵ月だ。

開城時に藩主松平容保の降伏状を直接受けたのが、薩摩の桐野利秋。この9年後、西南戦争で西郷の死を見届けた後、政府軍に対して抜刀、突撃をかけて死亡するのだが、その時の政府軍の先鋒をつとめたのは旧会津藩兵。政府軍が攻撃した鹿児島の街は完全に焼失していた。なんという皮肉だろうか。

…ヤナギは…さらにこのあと飯盛山へと吸い寄せられて行ってしまった。

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熊野の羊歯たち

熊野地方は様々なシダが一箇所にかたまって生育している。他の地方でも同じ種類のシダが見られる場所はいくらでもあるが、熊野地方では植林地の一角に何十種類ものシダがかたまっている。

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クリの葉っぱにそっくりなシダの「クリハラン」。石に張り付いている小さな丸い葉は「マメヅタ」。中部地方にもこれらのシダは山奥に点々と見られるが、普通に開かれたアスファルトの道路沿いに沢山生えている光景があちこちに見られた。

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マツザカシダらしきものも見つけた。胞子を付ける葉と付けない葉の形が極端に違い、葉脈沿いの色が少し淡いのでマツザカシダなのだと思う。ここ2年間ほどマツザカシダによく似たオオバノイノモトソウの押し葉を集めたところ、マツザカシダとオオバノイノモトソウの識別に自信がなくなった。この2種類は手のひらよりも小さい子供のうちは簡単に区別がつくが、胞子を付けるまでに成熟すると「?」が付く。普通成熟すると識別可能になるものが多いと思うのだが、大きくなると曖昧になるあたり、相当なくせものだ。

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紀伊半島の羊歯

紀伊半島は日本有数のシダの産地だ。

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そこら辺の岩にはシシランやヌリトラノオといったむせかえる位空中湿度が高い場所に生えるシダがごく普通に生えていた。アスファルトの舗装路まで苔むすくらいの地域なので当たり前と言えば当たり前なのだが、その「当たり前」が内陸地域に住む人間にとっては憧れの環境なのだ。

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ヌカイタチシダも元気に生えていた。この属のシダの中では一番葉の表面の光沢が美しいのではないだろうか。写真に写っているのは昨年の葉だが、展開したばかりの葉はさぞ美しいのだろう。このシダをみるのはいつも昨年の古い葉しかみないので一度初夏に綺麗な葉を鑑賞したいと思う。

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海を超えたつながり

熊野地方に行ったときに、おや?と思い撮影した写真があった。

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ミツバツツジの類にしては花が赤すぎるし、この花の色で、花の時期に葉が展開しているのは四国に多いオンツツジくらいしか思い当たらない。フィールド図鑑をみると伊勢神宮付近にはジングウツツジというのがあるらしいが分布が離れすぎている。 採集禁止地域ではなかったので、一枝頂いて標本にした。帰ってきてから大きな図鑑でオンツツジの分布を見てみると、紀伊半島にまで分布しているという。押し葉標本はまだ完全に乾燥する前なのでじっくりと見られないが、一緒に拾った花芽の鱗片を顕微鏡で見るとまさにオンツツジの特徴がある。

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こちらは数年前に高知県で撮影したオンツツジの大木。直射日光が当たって少し白っぽく見えるが、この独特の朱色と丸い花弁がオンツツジの特徴。今度四国でオンツツジを見かけたら標本を作って、今回熊野で採ったものと比較しよう。

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次郎坊

熊野地方に行って道ばたの植物を見ていてふと気が付いた。

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道ばたにごく普通にありふれていたのはケシ科のジロボウエンゴサクだった。長野県ではだいぶ前に絶滅して、近年再び再発見され、新聞で大きく報じられた種類だ。長野県に多いヤマエンゴサクもそっくりだが、花の色が少し赤みが強い、花の数が少ないなど、細かい部分が少しずつ違う。

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ヤマエンゴサクが花が青く、ひょろひょろと生えているのに対して、ジロボウエンゴサクはしっかりと茎がたって、しっかりとしている。一生懸命写真を撮っていたら、道行く人にこの花の名前を聞かれたので、ジロボウエンゴサクであることと、長野県では一回絶滅扱いになったことをお教えしたら、お礼にとヤクルトを頂いた。一寸うれしい次郎坊の思い出ができた。

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春日山の林床

春日山の林床にはいろいろな植物が生育している。照葉樹林メインなので林床が暗く、ところどころにしか植物がない。そんな姿が本来の照葉樹林なのだと思う。北海道の様に一面に綺麗な花が咲くというのは落葉樹林の姿だ。

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これはナガバノタチツボスミレ。照葉樹林に生えるスミレで里に生えるニオイタチツボスミレににているが、花弁の付き方が違う。スミレの中で一番ひっそりとした印象を受ける。さらに清楚なコミヤマスミレという種類が大量に生えていたが、まだ花には早く、葉っぱだけだった。

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点々とミヤコアオイもあった。土に埋もれて咲くので本当に目立たない。海を越えた四国にはトサノカンアオイという花がそっくりな種類があり、葉が5~6倍の大きさになる。Photo_3

ナンゴクナライシダも生えていた。照葉樹林帯で暖かく、霜にあたることのない林床でも去年の葉は半分枯れていた。本当に「半常緑性」なのだと感じた。

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春日山の原始林

奈良の春日山から若草山周辺を歩いた。観光ついでに登るには少し距離があるので、歩いている人は少ない。世界遺産に登録されているにもかかわらず、騒がしくなく、静かな巨木の杜を堪能することができるお薦めの場所だ。

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山頂から巨木の杜が延々と続いて、その山裾の杜の中に春日大社がある。春日大社はちょうど春日山と奈良市街地との間をつなぐ移行帯のような役割を果たしている。

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若草山山頂はちょうど桜が散り始めていた。桜吹雪の中、シカたちが一生懸命食べていたのは桜の花びら。草よりも栄養価があるのか、単に美味しいのか口の周りに花びらを沢山付けて花びらだけを食べていた。

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麓まで歩いて来ると目の前を青く光る虫が横切った。地面に降りたのをみるとオオセンチコガネ(大型のフン転がし)だった。普通オオセンチコガネは緑や、くすんだ赤なのだが、この地域のものだけ、青くなる。以前虫屋さんに標本を見せてもらい、その美しさに息を呑んだ。生きている姿は宝石そのものだった。この生きたサファイアはしばらく私の足下をうろついてから飛んでいった。

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いにしえの道

「熊野古道」は伊勢詣、熊野詣に使われた他、林業の巡視に紀州藩の役人が巡視につかった道でもあったという。西国最大の難所と言われた八鬼山越えの道にいった。

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苔むした石畳がその歴史を物語っている。

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道沿いにキシダマムシグサ?(あとで図鑑を調べないと…)が咲いていた。

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崖の上の林にはリュウビンタイが群生していた。かつてブームで採りつくされ、野生のリュウビンタイは殆ど見ない。見ることが出来たのは本当に運が良かった。道沿いには大量にナチシダが生えていて沖縄のやんばるの森の様だった。八鬼山の北半分は国立公園だが、南は私有地が多いせいか、法規制のゆるい地域になっている。地元の人々の世界遺産登録反対などが多い場所なので、難しいのだろうが、この豊かさは天然記念物に値すると思う。

今回は、八鬼山山頂まで登る予定だったが、登りはじめのスギ林やヒノキ林が宝の山で、ついつい見入ってしまい、車から30分くらいの場所から上は全く登れなかった。山頂まではあと3時間ほど…。地図を見て、全く登山していない自分に気づく。宝の山が当たり前の様にあって釘付けになる…そういう意味で山頂にたどり着けない難所だった。

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熊野へ・・・

日常を脱出すべく、熊野地方に向かった。

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三重県大紀町の県道46号藤坂峠から熊野灘方向を見ると、昔の修験者の気持ちになれる。鬱蒼とした森林の向こうに熊野灘がうっすらと見えている。山の斜面が所々白いのはちょうど満開のヤマザクラ。

この県道、本当に公道なのかと思うほど道幅が狭く、小型車か軽自動車でないと通れない上、急斜面に通した道なのにガードレールがなく、あちこち崩れていた。バイク用のツーリングマップにも「足がすくむ」という解説が書いてある。最初はこの県道に入ったことを後悔したが、この峠まで来て、その気持ちが吹き飛んだ。

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峠ではタチツボスミレが満開だった。

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道沿いにナチシダがあった。四国や九州では何度か出会ったが、本州でナチシダをみるのは初めてだ。「那智シダ」の名のとおり紀伊半島で記載されている。黒潮の影響を受けて暖かい上に、大量の雨がこのような南方系のシダを育んでいることを感じさせてくれた。

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小さなヨーロッパ旅行

安曇野の冷たかった水が少し温み、やっと桜の開花宣言が出た。

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水路を覗くといつの間にかオオカワヂシャが大きく生長していた。オオカワヂシャはヨーロッパ原産で「特定外来生物」として法律で移動や栽培が禁止されている。少し前までこの水路は日本産のカワヂシャが点々と生えていた。一見オオカワヂシャがカワヂシャを駆逐したように見えるが、よくよく見るとカワヂシャはまだちゃんと周辺に生育していた。カワヂシャにももう少し頑張ってもらいたい。いまさら外来種だけをやっつけるのは難しい上、「悪者」をやっつける気分に浸って本質を見失う「在来種原理主義」にはなりたくない。外来種を引っこ抜く時には「いたしかたない、申し訳ない」気持ちを忘れないようにしたいと思う。

少し歩くと水の中にまでオオカワヂシャが生えている場所があった。写真の中に写っているのはオオカワヂシャ、オニウシノケグサ、ハイコヌカグサ、エゾノギシギシなど、殆どがヨーロッパ産。ヨーロッパの春の水辺はこんな風景が至る所にあるのかもしれない。

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川岸のクレーター

川岸を歩いていると月面のクレーターの様になっている場所を見つけた。

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月面のクレーターは小隕石が衝突した跡だが、この無数のクレーター状のものはアリジゴク(ウスバカゲロウの仲間の幼虫)の「すみか」だ。アリジゴクは地上を歩く昆虫を捕まえるためにこのすみか兼トラップを作るのは有名な話だ。このような場所にそれほど沢山の虫があるいているのだろうかという疑問を持ったことがある。アリジゴクの研究をしている人に聞くと、案の定滅多に餌にありつくことはなく、栄養不足でなかなか大きくなれないそうだ。待っているだけで楽そうに見えるアリジゴクの生活もなかなか厳しいようだ。

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F1の世界

道ばたにタンポポが咲き始めた。桜の咲く前に咲くタンポポは、セイヨウタンポポであることが多い。

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なかなか見応えのある花のアップ。セイヨウタンポポは受粉しなくても実を付けることができる上、真夏と冬以外はずっと花を付けるので一面を覆う勢いで増える。一見恐ろしい侵略者のようだ。ところが、人工的に除草剤の影響を受けた場所や開かれた空き地などにしか生えない上、自然度の高い草地などにはほとんど入り込まない。

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奈良県の自然度の高い草原。ウマノアシガタ(日本版ラナンキュラス)と在来のカンサイタンポポが一面に生えていた。セイヨウタンポポを探しても見つからなかった。このような草原が今どんどんなくなっている。

今の日本にはオリジナルのセイヨウタンポポは存在せず、在来のタンポポとの雑種(F1)しか存在しない。確かに地方によって、カンサイタンポポのエリアでは花がほっそりした関西風、セイタカタンポポのエリアでは花茎がひょろ長い中部風、シナノタンポポのエリアでは萼が丸く膨らんだ信州風味。「遺伝子汚染」とされる現象だが、自然度の高い環境と造成地が隣接した場所をしっかり用意された状態で悪者にされるセイヨウタンポポは少しかわいそうだ。

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ご機嫌なジーン

十数年ほど前からいろいろな生物のDNAの全配列を解読する計画が全世界で巻き起こった。当然、人間も「ヒトゲノムプロジェクト」なる計画で全配列が決まった。マウスや大腸菌などの研究で盛んに使われるモデル生物の遺伝配列も次々に解読が終了した。

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植物で最初に遺伝配列の解読が終了したのはこのシロイヌナズナ。遺伝数が少なくて、短期間に栽培が可能であることが遺伝子研究のモデルとなった理由だそうな。大学の研究室にはシロイヌナズナが蛍光灯の下で育てられている。

野外では背丈の低い草むらに群がって生えている。か細くて、花が小さい上、葉が根元にしか付いていないので、あっても存在に気づかない。

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タネツケバナの咲く頃。

桜のつぼみがそろそろ膨らんでそろそろ開花宣言が出そうな今日このごろ。

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田んぼの隅ではタネツケバナが咲いている。この花をイネの種子を水につけて苗を作る準備をする目安にしていたことから「種漬花」という名がついた。

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外来のミチタネツケバナは乾いた場所に生え、花が小さい。

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タネツケバナは湿った場所に生え、花が大きい。

このCardamine属は種類は少ないが識別が難しい。タネツケバナばかり見ていても、花の大きさに変異があるし、その変異1つ1つに名前がついている。どこにでもあるからといってなめてかかると痛い目にあいそうだ。

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