スミレの一種のラフレシア
ヤッコソウという植物は牧野富太郎という人が高知県で記載した植物だ。黒潮沿いに生育していて、スダジイなどの古木の根に寄生する植物だ。
写真はヤッコソウのつぼみ。お遍路の札所の1つ、室戸の最御崎寺(ほつみさきじ)というお寺の境内で丁重に保護されている。本来シイの原生林の植物が神社の中に生育しているのはすごい。社寺林というのは手つかずの自然を良く残していると感心すると同時にお遍路の歴史の長さに感動する。高知県や徳島県で何ヵ所かヤッコソウの生える原生林を知っているが、そのような森がそのまま境内に成立している状態なのだ。
ヤッコソウが寄生しているシイの木は皆大木で、上を見上げると隙間なく枝を伸ばしている様子が分かる。
ヤッコソウは熱帯のラフレシアの近縁種ということになっているが、遺伝子レベルではスミレの近縁になるそうだ。暗い森に咲くヤッコソウと明るい場所に咲くスミレ、似ても似つかないが、ヤッコソウの甘い蜜に引かれてミツバチが訪れている姿をみるともしかしたら近縁種なのかもしれないと思えてくる。
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コメント
社寺林は昔からの自然の生態を今に伝えている。ちょっと身の回りを振り返ってみた。私の住む住宅地は小さな丘陵を開いて造成された。ここのどこかのお宅の庭でクワガタを見つけることはもうできないが、住宅地の一角にある神社にはまだたくさん生息している。宅地が開かれるはるか昔からあった神社には丘陵の雑木林の一部が昔のまま残されている。夏になると「クワガタ採るな」の札が立つほど。周囲の開発から取り残された空間は、その中の個体の維持に影響を与えることもあると聞く。数十年前には近くの里山から神社周辺に出没したというタヌキやウサギの姿も今はない。里山自体そうした命を育む力が衰えてきている。社寺林でも失われたものはあるだろう。が、小さなクワガタは住宅に囲まれた鎮守の杜で生き残っている。――生物の多様性の保全…なんて夢にも考えない子供時分、近くの神社は遊び場所であり春・秋の祭りの場であった。街中の神社といっても少し足を伸ばせばたちまち田園風景が広がり、農業国日本を謳った時代だ。祭ばやしが聞こえてくると校長先生の放送が始まった。「今日は神社のお祭りです。特別の日です。午後からの授業はお休みにしましょう。」子供たちは歓声を上げた。のんびりした時代だった。出店の並ぶ小さな神社の境内にも天を突く木がそびえていた。見上げると大木の葉がすき間なく空を覆っていた。少し離れて見るとこんもりした木々の塊が本殿を半分隠していた。 ―― 子を持つようになるとその子の手を引いて移り住んだ土地の神社の祭りにも連れて行った。神社の本殿から紅白の餅がまかれた。餅を取って小さな子供の両手一杯に持たせた。見上げると神社のささやかなな庭にも大木があり葉がすき間なく空の一角を覆い、下には苔やシダがあった。何百年もあるいはそれ以上、人の暮らしのすぐそばで木々やその下生えや苔や地衣類が呼吸を続け、鳥や昆虫や甲虫(こうちゅう)や目に見えない小さな生き物が永々と命をつないできた。ドイツの「黒い森」が人の手で保護され衰退を免れたように、社寺林も周辺の里山もそのようにしてようやく生き残っていくのだろう。
(暗い森に咲くヤッコソウと日なたのスミレのように遺伝子レベルでのつながりは想像を超える。同様にバラとナンキン、苺とマリファナが近縁で、ハスの近縁はスイレンではなく(名は知らないが)カエデの葉に形の似た大ぶりの葉を持つ大木であるというのも興味深い。)
投稿 Mariko.F | 2007年12月 6日 (木) 10:35