晩秋のキキョウ

紅葉も場所によっては盛りを過ぎてすでに落葉してしまった。もう晩秋になり、冬まであとわずかとなった。
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これはイワシャジン。キキョウ科の植物で秋に咲く。限られた地域の岩場にしか生育していないため、なかなか出会う機会がない。以前紹介したツリガネニンジンヒメシャジンと同属で、釣鐘型の花をつける。花の青みが強く、花が大きいため目立ち、晩秋の寂しい岩場に彩を添えている。

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渓流沿いの岩場にも小さなイワシャジンが咲いている。葉がほとんどなく高さが5cm以下だというのにきちんと花を付けている。地味な植物が好きな自分だが、こういった花もなかなか捨てがたいと思う今日この頃だ。

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内陸の若狭湾?

滋賀県の鈴鹿山地の山中を走っていると、崩壊地や崖の一面にキクの花が咲いていた。特徴を見るとリュウノウギクのようだ。リュウノウギクは、かつて防虫剤として利用された樟脳(しょうのう)と化学式の似た龍脳(りゅうのう)の香りがすることからその名前が付いた。龍脳を辞書で調べると墨の独特のにおいの成分とある。
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しかし、普段見るリュウノウギクはもう少し花が小さく、こんなに花つきも良くない。まるで西日本のノジギクのようだ。図鑑をよく調べてみるとリュウノウギクの変種のワカサハマギクのように思えてきた。ワカサハマギクと呼ばれるものは、本来は福井県などの日本海側の海の崖に生育するのだが、染色体数の調査などから、伊吹山、鈴鹿山脈に生育するリュウノウギクの一部もワカサハマギクに含まれるようになったそうだ。
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中には花の直径が5cmを超えるものもあり、図鑑上ではワカサハマギクにしか該当しない。名前を確定するには染色体数を調べる必要があるが、内陸でワカサハマギクに出会う機会などそうそうない貴重な体験をした気がした。

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雑種とは…。

植物の場合、両親が同種の場合は優性遺伝の法則によって、より優性な形質が「表現」される。たとえば、赤い花と白い花の同種をかけあわせても中間のピンクではなく、赤色の花になることが多い。しかし、雑種の場合、両親の中間の形質を示すことが多い。
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このシダはシノブカグマとホソバナライシダという2種の雑種のアズミノナライシダだ。これだけだといまいちイメージが湧かないが…。
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写真の左がシノブカグマ、右がホソバナライシダ、真ん中がアズミノナライシダ。アズミノナライシダが両親を足して2で割ったような中間的な形をしている。雑種というのは自然界で生じる確率が低く、シノブカグマとホソバナライシダが混生している場所はいくらでもあるが、アズミノナライシダはまず見ない。滅多に見ないアズミノナライシダを見るたびに、中間形を産む遺伝子の垣根がいかに高いかを感じる。

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湿地の秋Ⅱ

水田は湿地の代償地となっているは、当たり前のようであまり知られていない事実である。これは、多くの低層湿原とされる湿地も休耕田由来であることからも良く分かる。現在イネを栽培している場所も立派な湿地として機能している。
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稲刈り後の水田や休耕田に、ごくごくまれに出てくるミズネコノオ。以前紹介したミズトラノオと同属の植物だ。華やかさこそないが、この脆弱な一年草が生育できる水田というのは相当レベルが高い。除草剤の散布タイミングが少しずれていたり、冬季にあまり乾燥しないなど、現在の農業に完全に逆行する必要条件を持つがゆえに絶滅の恐れがある。この「猫の尻尾」をいかに絶やさないようにするのかが、食料生産の場としての水田と、湿地としての機能を有した水田の理想的な折衷点なのだろう。

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冬の足音

朝晩冷え込むようになり、朝の気温も一桁というのもざらなってきた。初霜もそんなに先ではないだろう。
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ユキミバナは福井と滋賀の県境にのみ生育するキツネノマゴ科の植物。直径が1.5cmほど青い花が暗い林床に点々と咲く。その名前は秋に咲き始め、雪が降り始める頃まで咲き続くことに由来するそうだ。青い花であると時点で、珍しい上に、花が少ない晩秋に見られることから、よく目を引く。
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アップで見ると、凝った模様があり、ガラスの工芸品のようだ。図鑑を見ると、ユキミバナは四国や九州に分布するスズムシバナという種類と同じとされていたが、茎が地面を這い、常緑性であることから、別種とされたとある。
種小名に「wakasana」という「若狭」の地名を持ったユキミバナは厳しい若狭の冬の訪れを密かに告げているのかもしれない。

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